2021年10月の絵本



「おにぎりころころ」 作・絵:トモコ・ガルシア


「おべんとう」 作・絵:小西英子


「だめよ、デイビット」 作・絵:デイビット・シャノン 訳:小川仁央


「ポケットのないカンガルー」 作:エミイ・ペン・絵:HA・レイ


 絵本の紹介

「だめよ、デイビット」

   ディビット・シャノンはイラストレーターとして活躍している絵本作家です。そのイラスト力をフルに発揮してか、独特なインパクトがある印象的な絵本作りになっています。 見返しを開くとオレンジ色が飛び込んできます。 扉のママの絵柄がおもしろいです。ママの顔から下が描かれています。顔がないということで、ママの表情を想像することもできます。イラストレーターらしい絵の切りとり方?!なのかなと思ったりしました。顔を描かない、その分絵に迫力出ているような気がします。ママの左足がちょっと上がっています。たぶんトントンしながら「だめ!」と言ってる様子が見て取れます。"絵"を見て音も聞こえてくるような絵力です。 題字の「だめよ、」の言葉の強さを、絵の強さで強調しています。すでに扉から絵本を見る子ども達の心を、ぎゅっとつかまえます。

   そして、「だめよ、ディビット!って」ディビットがいたずら描きを壁にしているシーンに始まります。いたずら描きをするのは子どもらしい子どもだからこそすること、子どもらしい素振りの始まり方で存分に描かれています。子どもがよくするいたずらでの始まり方が日常を描いています。絵本の中に引き込まれていきます。壁になんか冷蔵庫になんかいたずら描きされると、おこってしまっていた子育てママ時代の自分のことがふと思い出されました。鬼のような顔して「だめよ!!」って言ってた自分を。 とにかく、絵力が、絵のインパクトが、絵が語る言葉が動作が、すごいですよねこの絵本!! ページごとの絵が、強烈な印象で目に入ってきます。のりのよい言葉が耳に入ってきます。 これは絵本を描くというよりも、ディビットそのものを描いている、ディビットの姿、印象を映し出しているという感じですね。リズミカルに物語がすすんでいきます。 こんな子は、ほらそこに、クラスの中にもいるディビット!!先生たちも言っていませんか?
「だめよ!! ○○くん」と。
お母さんたちも、お父さんたちも言っていませんか!!
「だめよ!! ほら またしたのね!!」なんて・・・
最後のページと最後のひとつ前のページを見てください、気持ちが画面に引き寄せられます。心をつかまれます。 ここを生かして物語を完結させるという編集のしかたが素敵です。作者デイビットの絵本作りの情熱と子どもへのやさしいまなざしが生きています。

   子育て中のお母さん、子育て終了したお母さん、最近ではお父さんたちも。この絵本を読むと、最後のページでぐっときてちょっと涙するかもしれません。大人の皆さんもぜひ読んでみてください。



作・絵:デイビット・シャノン 訳:小川仁央 出版社:評論社 )





光の森こども園

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