2018年10月の絵本



「おつきさまなにみてる」 作・絵:なかじまかおり


「モリくんのおいもカー」 作・絵:かんべあやこ


「ぼくのえんそく」 作:穂高順也・絵:長谷川義史


「どんぐりと山猫」 作:宮沢賢治・絵:田島征三


 絵本の紹介

「どんぐりと山猫」

   『どんぐりと山猫』は、宮沢賢治の有名な童話です。宮沢賢治というとすぐみなさんが思い浮かぶのが「アメニモマケズ・・・」の有名な詩ですが、宮沢賢治は童話作家でもあり『注文の多い料理店』『よだかの星』『猫の事務所』などと並んで、没後に注目をされた多くの作品があります。何人かの作家さんが、その宮沢賢治の童話に絵を描いています。ここに紹介するのは、田島征三さんが絵を描いた『どんぐりと山猫』。田島さん独特の感性にあふれた絵には、ダイナミックな色使いとエネルギーにあふれた描きっぷりです。描写のしかたで同じ物語でもこんなにイメージが違うのかと皆さん読んで見て思う事でしょう。

   物語では、山猫からのさいばんの招待はがきをうけとり、山にむかう一郎。栗の木を通り過ぎ、滝をこえ、ぶなの木の下をいくと、ぶなの木の下には、白いきのこが音楽を奏で、白いきのこに声をかける一郎の場面に強く印象づけられます。一郎のくりくりしたいがぐり頭に、真ん丸の目。興味しんしんに白いきのこをみている一郎の表情が絵本からでてきそうないきおいがあります。 さて、さいばんの場所に着いてみると・・・

   黄色い陣羽織をきた山猫がページに登場します。山猫は堂々と描かれており、かっと開いた真ん丸の目にすいこまれそうです。これが田島さんの絵力だなあとうならせてしまいます。そして、裁判が始まります。裁判が始まると、どんぐりがごろごろわいてきて、山猫が"かっ"と、見開きに2ページをつかって大きく描かれており、ド迫力!!しかし、その迫力ある山猫の言葉も、どんぐりたちには全然届きません。そこで一郎に助言を求める山猫、一郎からの妙案にどんぐりたちも「さっと」黙ってしまい、裁判は結審しました。

   この物語から何を学ぶかって、いいえそれはただただ、一郎、山猫、別当、どんぐりのかけあいの面白さを味わってもらえればいいのです。そして、もししたら「ぼく、(わたし)のところにも、山猫からご招待のはがきがこないかなあ」と、子ども達にわくわくさせることができたら最高ですね。

   田島征三さんの描いた『どんぐりと山猫』は、他の絵本とは一味違う物語の魅力を描き切っています。



(作:宮沢賢治・絵:田島征三)






光の森こども園

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